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宮城谷さんの小説【孟嘗君】本当に面白かった!超オススメです
【孟嘗君】について
孟嘗君(もうしょうくん:?~紀元前279年)とは、古代中国・戦国時代に活躍した名宰相。
斉の王孫に生まれながら、その経歴は歴史書の中にも、あまり詳しく記されていないらしく、大部分は謎に包まれているようです。
人を押しのけて高みに上った勝者ではない故に、記録に残っていないのかもしれません。

これもきっと人格者である証拠ですね!
もちろん宮城谷作品のファンにはお馴染みの主人公で、私の大好きな小説【楽毅】の中にもたびたび登場して、読者を泣かせてくれます。
実体が定かではないからこそ、作者もいろんな味付けを施すことができたのでしょうけれど、これほど魅力あるエンターテインメント歴史小説はめったにないんじゃないかしら。
堅苦しい時代小説ではなく、見どころいっぱいのお話なのです。
- 謎に包まれた殺人事件
- 親子の生き別れ
- 立身出世
- 敵同士のロマンス
- 孫氏兵法による戦術攻防
盛りだくさんの内容で、全5巻なんてあっという間に読み終わってしまいます。*^^*
*作者の宮城谷氏プロフィールと、同時代の小説【楽毅】についてはこちらから。
でも【孟嘗君】が登場しない?(笑)
とにかく面白いんです。
でも孟嘗君(=田文)の成長記かと思いきや、3巻の途中まで主人公である田文がほとんど出てこない(笑)。
これ、一体どういうこと?
小説の前半は、田文の育ての親・風洪(ふうこう)の大活劇を中心に物語が進んでいきます。
風洪というこの男、腕が立って、仁義に厚い人たらし(笑)ですが、積み荷の護衛で儲けたお金を妓楼で散財するという根っからの無頼漢。
それが田文の命を救って育てることになり、素晴らしい人たちにめぐり合う中で、大商人に変貌していくのです。
作者があとがきに書いていますが、朝刊で連載していた当時、読者が「今日は白圭さんはどうなるのか」とそわそわするほど注目されていたらしく、作者自身も白圭に魅了されて連載が伸びたのだとか(笑)。

そんなわけで、なかなか主人公が出てきません(笑)
でも首をかしげるのは、いつも1巻読み終わってから。
「あれ?そういえば、孟嘗君はどうなった?」と、ふと気づくのです(笑)。
それくらい主人公不在の前半を、夢中になって読んでいるんですよね。
実際に孟嘗君が白圭に育てられたわけはないと思うんだけど、こうして孟嘗君の人格が形作られたのだと納得できる創作が散りばめられていて、読者はとても楽しめます。
他にも、アジアドラマで名前がよく出てくる「商鞅」や、孫氏兵法で有名な「孫臏」、私の好きな「楽毅」などいろんな人物が登場するのも見どころのひとつです。
【孟嘗君】の魅力
孟嘗君は『中庸の人』と言われます。
中庸とは、
1.かたよることなく、常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。また、そのさま。「中庸を得た意見」「中庸な(の)精神」
2.アリストテレスの倫理学で、徳の中心になる概念。過大と過小の両極端を悪徳とし、徳は正しい中間(中庸)を発見してこれを選ぶことにあるとした。(~goo辞書より転載)
この説明通り、損得なく物事を公平な目で見て、仁をもって政治を行った人のようです。

今で言う“win win”をめざした人ですね
私は【楽毅】を読んだ時、すぐに孟嘗君のファンになったのですが、古代中国の小説は初めてだったので、当時の勢力図がなかなか頭に入らず、また、どうして孟嘗君に複数の呼び方があるのか、どうして他国の宰相になるのか・・・などが納得できませんでした。
今回やっと、それらの疑問が解けました。

【楽毅】の前に【孟嘗君】を読むべきだったようです(笑)
さて、孟嘗君には「田文」「薛公」「孟嘗君」などの名前があります。
- まず本名は=「田文」(でんぶん)
- 「孟」は字、嘗邑(しょうゆう)の領主になり=「孟嘗君」
- 父親が統治した薛(せつ)を受け継ぎ=「薛公」
*(2)は死語の謚(おくりな)であるとも言われます。
彼は各国を渡り歩きながら、身分にとらわれず数千人の食客を抱え、その情報網をフル活用して窮地を脱したり、人々を助けたようです。
【孟嘗君】あらすじ
斉の公子・田嬰(でんえい)の側室が産んだ息子・文は、誕生日が不吉だという理由で父親に殺されかけたところを下僕が逃がし、田氏の政敵の家に預けられました。が、ここでも刃傷沙汰に巻き込まれて、命を救った風洪が育てることに。
彼らは追われるように斉の都を脱出し、妹・風麗が慕う公孫鞅(後の商鞅)を訪ねて、魏から秦へと移ります。
公孫鞅の師を訪ね、兵法の天才・孫臏(そんびん)と出会い、豪商の世話になるうちに、風洪は剣を捨てて人のために生きる道を選び、商人になることを決意しました。
一方の田文は実父の館に引き取られたものの冷遇される日々が続き、心のよりどころは孫臏と食客たちでした。
そんな中で出会った一人の美少女。彼女こそ、赤ん坊の時、同じ屋敷に預けられ生死も不明だった政敵の娘です。互いの素性も知らずに惹かれ合うものの、過去の因縁から引き裂かれてしまいますが、やがて・・・。
多くの食客に慕われる田文は、戦場でも名を上げ、徐々に諸侯から注目される存在へと成長していくという爽快な時代小説です。
【孟嘗君】今日のまとめ
実は【孟嘗君】全5巻は、ずいぶん前に購入済みでした。
でも「長いしなぁ」と躊躇していたんです。(^^;
最近あまり読書をしていなくって、のんびりと「そろそろ読むか」いう感じだったのに、気づけば2日に1巻ペースで読了。
「ええ、もう終わり!?」と自分でも驚きました。
っていうか、もっと読みたくてガッカリしました。

それくらい面白かった!
登場人物は多いし、改名もよくするし(笑)、いろんな国でいろんな事件が起きるんだけど、それがまた白圭と田文の肥やしになり、人との絆を築き、うるっとくるような人情話がたくさん出てくるんですよね。
薄幸の美少女・洛把(らくは)とのエピソードは、まるでロミオとジュリエット(笑)。
養父・白圭の用意周到な作戦で、ハッピーエンドになるくだりも泣かせます。

涙あり、笑いありで、ホントに夢中になりますよ
さて、私は今まで宮城谷作品では【楽毅】が至上だと思っていました。が、
エンターテインメント性としては【孟嘗君】の勝ちですね。
でも、やっぱり私は【楽毅】が好きだなぁ。*^^*
楽毅の人生そのものに、しっとりとした情感があるんですよね。
孟嘗君の活躍や人間味などの魅力も、楽毅を通してたっぷり描かれていますしね。
また【楽毅】が読みたくなりました。
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