サフォン、最新作の感想【読書】

こんにちは、認知症パパを介護中のユウコ姉です。

いろんな問題に直面する介護生活。

わずかでもココロのスキマを大切にしましょうね。

ユウコ姉
ユウコ姉

あぁ終わってしまった…読みたいけど読みたくない完結編でした(笑)

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【精霊たちの迷宮】について

『風の影』に始まった【忘れられた本の墓場】最終シーズンを、やっと読み終えました。

実は・・・上下巻2冊を読むのに、1カ月以上かかりました。

サフォンなのに、信じられない遅さです

まぁ確かに、1冊のボリュームがありすぎる。

普通の2冊分の分厚さで、文庫の値段が1,000円超えるのも納得できます。

でも、遅読の原因はそれだけじゃありません。

 

1.まず、知らない人物が主人公

センペーレ書店のダニエルが中心ではなく、今まで聞いたことのない女性が暗躍し始めて混乱しました。

 

2.前作を読み返しくなる

物語に知っているキャラが出始めると「あれ、誰だっけ?」と首をかしげ、前3作をパラパラとめくり返してしまうのです(笑)。

「いいヤツだっけ?」「悪者だっけ?」忘れている部分を取り戻そうとして時間がかかりました。

 

3.拷問シーンが多くて、キツイ

上巻はとにかく、拷問描写が細かくて、吐きそうなほどでした。

そのたびに「ちょっと休憩」しようと本を閉じ、そのまま放置したり・・・。

 

読みかけの本をほったらかしにするなんて、私には珍しいことです。

もちろん途中から、夢中になりましたけどね。

 

そして、こんな展開になるとは予想しなかったので驚きました。

ミステリー。

復讐。

過去の真実。

友情と家族の絆。

 

今は光り輝くバルセロナの暗い側面をのぞき見るような不思議な感覚に陥ります。

また最初から読み直さずにはいられません。

 

【精霊たちの迷宮】あらすじ

物語は過去と現代を行き来して、ダニエルを取り巻く人たちの謎が徐々に明らかにされていきます。

その鍵となる人物のひとり、マウリシオ・バルスーその昔モンジュイックの監獄長として善良な市民を地獄に突き落とした彼は、姿なき誘拐犯によって拷問を受けていました。

保安組織の工作員アリシア・グリスは、今や国家の重鎮でもあるバルスを秘密裡に探すよう命令され、内戦中のつらい記憶が眠るバルセロナへ向かうことに。

バルガス警部とともに捜査を展開しますが、謎は謎を呼び、行く先々で死体と遭遇し、やがてすべてが1冊の本を通して、センペーレ書店へと導くのでした。

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【忘れられた本の墓場】シリーズ

このシリーズ4部作は、それぞれの物語が独立していながら、複雑に絡み合っています。

中心人物はダニエル・センペーレですが、実は彼が生まれる前から悲劇は始まっており、この『精霊たちの迷宮』で、ファムファタルとして登場するアリシアが真相を暴き出すのです。

相変わらずの美しい文体と軽妙な会話で綴られているのに、物語はどんどん深淵に向かい、途中で読むのが苦痛になるほどでした。

 

第1作『風の影』は、第二次大戦後のダニエルの青春時代でした。

第2作『天使のゲーム』は、内戦前1930年代のダニエルの親の物語でした。

第3作『天国の囚人』は、ダニエルの親友フェルミンが語る過去の絆。

そして第4作『精霊たちの迷宮』で、すべての扉が開かれます。

 

サフォンいわく、これら4作品は

どんな順に読んでもよく、異なる入り口から、異なる道を通って迷宮に分け入ることができる。その道がやがて結びあい、読者を物語世界の中心に案内してくれる

時に華麗で、時に残酷な描写に彩られる迷宮に一度足を踏み入れれば、もう抜け出すことはできません。

それは、この小説に“命を捧げた”サフォンの魔力かもしれません。

 

スペイン内戦について考える

私にとってスペイン内戦とは、ピカソの【ゲルニカ】と、従軍したヘミングウェイ【誰がために鐘は鳴る】でしょうか。

若い頃見たこの映画は「バーグマンがきれい」だったことしか覚えてないし

1936年勃発の遠い国の昔の戦争で、正直詳しいことは何も知りませんでした。

ここで解説できるほどの知識もスペースもないけれど、サフォンの小説は、スペイン内戦が残した闇にスポットを当て、私たちに今一度、戦争の悲惨さを語りかけているようです。

物語の後半、明らかになる痛ましい真実は、スペインが忘れたい暗い過去。

政治犯として虐殺された人々の多くの遺児が国家の管理下に置かれたのは、本当の話だそうです。

あぁ恐ろしい。

 

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【精霊たちの迷宮】今日のまとめ

サフォンの新刊が発売されたのは、昨年の夏。

私が『風の影』他3作を一気に読んだのが一昨年で、しばらくは続きが気になり検索していたのですが、はっきりしたタイトルも不明で、探しようがない状態が続いていました。

そして昨年末、未読の書籍が底をついてしまって、いろんな本を探している時に【サフォン新作】がヒットしたのです。

タイトルは当初予定されたいた『魂の迷宮』ではなく『精霊たちの迷宮』でした。

すぐ購入したけれど、しばらく読む気にならず、背表紙だけを眺めていました。

ユウコ姉
ユウコ姉

これで終わっちゃうのかと思うと寂しくて

なにしろ、サフォンの絶筆ですからね。

 

今、最終巻を読み終えた私は、またシリーズを読み返すことにしました(笑)。

ひとつ前の『天国の囚人』から読もうと思います。

どこから読んでも、迷宮の中心に通じるという物語は、再読するたびに新しい発見があるに違いありません。

 

 

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