『君は行く先を知らない』【映画】

配信元:公式サイト

こんにちは、認知症家族を介護中のユウコ姉です。

自宅で介護を続けていると、気持ちに余裕がなくなってきませんか?

だから、いい意味で、ココロにスキマを作りましょう。

ユウコ姉
ユウコ姉

派手さはないけど、いい映画だったなぁ~

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【君は行く先を知らない】について

私は、この手の作品に弱い(笑)。

人によっては退屈だろうけれど。

イランという特殊な国から発信されていることが、余計に郷愁を誘うのかもしれません。

 

荒涼とした、寂しくて美しい景色の中を、1台の車が走ります。

末っ子ははしゃいだり、ワガママを言ったり、始終うるさく騒ぎ立て、母親が叱り、父親はそれをなだめ、長男はただ黙々と運転を続けている・・・それだけのお話です。

ロードムービーというには、あまりにも変化に乏しいのですが、会話の端々から旅の目的が明らかになるにつれ、この国の悲惨さと家族の絆が伝わってくるのです。

 

政府を糾弾するわけでも、日々の苦しい暮らしを映すわけでもありません。

それなのに、4人の長距離ドライブはすべてを物語っているようです。

 

概要&受賞歴

『君は行く先を知らない』 HIT THE ROAD

  • 製作年/2021年
  • 製作国/イラン
  • 言語/ペルシャ語
  • 上映時間/93分
  • 配給/フラッグ

受賞歴

  • BFIロンドン映画祭作品賞
  • サンフランシスコ国際映画祭ゴールデン・ゲート賞

など多数受賞。第74回カンヌ国際映画祭正式出品

 

スタッフ&キャスト

【スタッフ】

  • 監督・脚本/パナー・パナヒ…名匠ジャファル・パナヒの息子、本作が初長編監督作
  • 製作/パナー・パナヒ、ジャファル・パナヒ

【キャスト】

  • モハマド・ハッサン・マージュニ(父親)…4か月も足にギブスをしたままの父親
  • パンテア・パナヒハ(母親)…一家を取り仕切る、一見、強情そうな母親
  • アミン・シミアル(長男)…少しマヌケな感じの、訳ありの青年
  • ラヤン・サルアク(次男)…天真爛漫で歌と踊りが上手な少年

登場人物は、この4人家族だけ。

親子の会話のみで成り立っているのに、とても奥深いです。

あらすじ

トルコ国境に向かって走る1台の車。

両親と2人の息子、1匹の犬が乗っており、一見ただの家族旅行です。

が、行く先を知らないのは、一人ではしゃぐ幼い少年だけ。

ギブスに携帯電話を隠し持つ父親は、仲介人にこっそり連絡し、母親はイライラしながら影で涙し、諦め顔の長男は、感情をひた隠して運転を続けます。

旅の到着地に待ち構えているのは、家族との別れでした。

 

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【君は行く先を知らない】総評 ★★★☆☆

配信元:オフィシャルサイト

物語は、少年が携帯電話を車に持込み、母親にこっびどく叱られるところから始まります。

なぜ、電話を持っている程度のことで怒られるのでしょう。

運転中も背後から誰かが追ってこないかビクビクしたり、どうも挙動不審な一家です。

 

その理由はだんだんわかってくるんだけど、緊迫した状況の中にユーモアが散りばめられていて、見ている側は救われます。

片足にギブスをした父親は、自分もこっそり携帯電話を隠し持っているし(そのためのギブスかな)、自転車レース中に車にぶつかった選手はマヌケなようでズル賢くて笑えました。

 

雄大なパノラマを堪能できるのも私好みです。

5つ星の採点評価は ★★★☆☆

リアルタイムでぜひ見てほしい作品です。

何度も見たくなる感じではないけれど。

 

パナー・パナヒ監督は、ずっと父親ジャファルの助手を務めていたらしく、社会派としての血をしっかり受け継いでいるようですね。

ジャファル・パナヒ監督は、イラン当局に映画製作を禁じられたり、拘束されたり、しっかり目をつけられているけれど、ひるまず映画作りを続けています。

これからも親子それぞれ、反骨精神のある良い作品を世に送り続けてほしいと思います。

 

名セリフ&名場面(ネタバレ注意)

映画の冒頭。

車の中で居眠りをしていた母親が、ふと『ここはどこ?』とつぶやきます。

すると後部座席の次男坊が

『地獄だよ』

と答えるのだけど、それはあながち嘘ではない予感がします。

 

そう。

彼らは暮らしが成り立たず、長男をこっそり隣国に密入国させる途中。

弟には『結婚する』と偽って、兄は家族のため出稼ぎに行こうとしているのです。

 

口喧嘩ばかりでうるさい一家のようですが、本音を口に出せないからこその口論だということがわかってくると、胸を締めつけられそうになります。

 

兄【=旅人】を迎える仮面の男や、草原が宇宙と一体化する不思議な映像など、おとぎ話風の手法も面白いなと思いました。

イランという国を身近にとらえることのできる良作です。

 

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