こんにちは、認知症パパを介護中のユウコ姉です。
介護は確かに大変だけど、ココロにスキマを作ってあげて、上手にストレス解消しましょうね!

今年最初に読んだ本は、コレ! 面白かったです
【不連続の世界】について
私はネットポイントがたまると、よく電子書籍を購入します。
特に楽天の期間限定ポイントなどは、すぐ使わなくっちゃ消失しちゃいますからね。^^
そんな場合によくDLするのが、恩田陸の短編集。
「なんとなく本を買っとこう」と思う時に、価格もボリュームもちょうどいいのです。
この『不連続の世界』は、塚崎多聞という男の青年期から中年期に渡る風景を描いた短編集です。

恩田ファンならずとも、気軽に読めて満足できる小説だと思います
作者の恩田陸さんについて
恩田陸という人は、非日常の怖さと癒しをうまく同居させた幻想的な小説を生み出す作家ですよね。
その独特の世界観が、私も大好き。初めて読んだのは『チョコレートコスモス』でしたが、面白くて一気に読んだのを覚えています。
恩田陸 Riku Onda <Profile>
- 1964年青森県生まれ、宮城県出身、早稲田大学教育学部卒、本と音楽に囲まれて育つ
- 1991年『六番目の小夜子』で第3回ファンタジーノベル大賞最終候補に残ったのをきっかけに作家デビュー
- 2004年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞
- 2006年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞
- 2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞
【不連続の世界】内容
著者自身が「トラベルミステリー」と位置づける本作は、3話目から西日本名所めぐりの趣があり、広島に住む私には馴染み深い場所が多くて、そこも気に入った理由のひとつです。
<各話タイトルと内容>
- 「木守り男」神田川沿いの幽霊屋敷にからむホラー仕立ての物語。無国籍な仲良し4人組のおしゃべりが軽快で楽しい。
- 「悪魔を憐れむ歌」『暗い日曜日』を彷彿とさせる幻のメロディを求めるうちに出会うミステリー。
- 「幻影キネマ」舞台は尾道。ミュージッククリップの撮影にきた多聞らは、地元出身の杉原の暗い過去に触れる。
- 「砂丘ピクニック」鳥取砂丘、植田正治写真美術館、松本清張記念館。美しい景色を背景に、ここでも不思議な世界に迷い込みます。
- 「夜明けのガスパール」瀬戸大橋を渡る夜行列車の中で、とりとめもなく続く悪友たちとの会話。塚崎多聞の真実がこの最終話で明かされることに。
最後まで読むと、最初に戻って読み返したくなる作品ですよ。^^
【不連続の世界】気に入ったところ
主人公の塚崎多聞は、父親と二人で外国を転々としてきた帰国子女。
自己主張せず、誰の邪魔にもならない彼ですが、いつしか現実逃避するように不思議な世界をさまよい始めます。仲間のおかげで現実と向き合い、自分自身を取り戻していくお話です。
どの物語も少し不思議で、時々背筋がゾクッとするようなミステリー。私は主人公とほぼ同世代なので、時代背景がよ~く理解できました(笑)。
1話完結型だから、少し時間がある時に、サクッと読み切れるのもいいですね。
【不連続の世界】今日のまとめ
『不連続の世界』の塚崎多聞は、その十年以上前に発表された『月の裏側』に登場したキャラクターです。
私はそれを知らなかったんだけど、いずれ前作も読んでみようと思っています。
あとがきより引用
最後に、作者のあとがきを読んでいて「わかるなぁ~」と思わず頷いたフレーズを載せましょう。
子供の頃からいつも「強い人」になりたいと願っていた。・・・二十代から三十代にかけては、私にしてはなけなしの努力をしていたと思う。・・・しかし、人間、体力が落ちて、人生も後半にさしかかると、子供の頃の、持って生まれた性格のほうがまたじわじわと表面に顕れてくるものなのだ。(文庫版あとがきより)
まったくですよね・・・バブル全盛期に成人し、強がって生きてきた私たち世代ですが、50も半ばを過ぎると少し気弱になってきたりして(笑)。
といいますか、本来の自分が頭をもたげてきて、その心持ちが懐かしいやら、おかしいやら。
私はそんな感覚がラクに思えるので、それはそれでいいのかなと感じています。
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